奈良県は、吉野の杉や、五條の柿、平群の小菊、大和茶が比較的知名度が高く、全国的な産地としても知られていますが、何れも山間部で生産されているものです。これからも分かる様に県土の多くを山地が占めており、水田に出来る平地が少ない為に、お米の生産量は少なく産地の知名度としても、近隣の各県に遅れを取ってはいます。が、穫れる米は旨いのです!米粒一つ一つを感じられる、しっかりめの食感と、噛みしめる程に広がる甘みが奈良のヒノヒカリの特徴であるとされています。その特徴が際立っているのが、福田農園のお米です。無論、冷めても旨さは変わりません。
日本穀物検定協会の実施する食味試験では、平成22年から平成27年まで7年連続で最高評価である特Aの評価がなされ、平成24年には最高得点を獲得しており、旨い米が穫れる事が実証されています。
ただ、近年は農業従事者の高齢化の影響を受け、A評価に甘んじているものの、その素地は変わりません。農園の位置する奈良県の米の主産地たる、大和盆地は東西南北の四方を山地に囲まれており、盆地特有の寒暖差の大きい気候が旨い米を作ります。
古より青垣山と詠われた山々に四方を囲まれた地域、それが大和盆地です。東は大和青垣国定公園に指定されている笠置山地、西は金剛生駒紀泉国定公園の生駒山地で大阪の街の喧騒と隔絶され、南は吉野の深い紀伊山地の山々に隔てられています。内陸・盆地に特有の、昼夜の寒暖差の大きい気候で、昼間は太陽の日射を受け暑くなりますが、逆に夜は冷えます。真夏でさえクーラーが必要な夜は、それほどありません。稲の穂が出る夏の終わりには、朝方であれば半袖では肌寒いぐらいになり、その冷え込みが旨いお米に繫がります。
日中、稲は日光を受けて盛んに光合成をします。光合成によって作られたデンプンは、籾へと送られていきます。でも、日の暮れた後の夜は光合成を行わずデンプンをエネルギーに変えて呼吸をしています。夜の気温が高いと、呼吸が盛んになり籾に送るデンプンが消費されてしまい籾のデンプンが不足してしまうのです。気温が低ければ、呼吸が抑えられ不必要なエネルギーを使わなくなった稲はその分、籾にぎっしりとデンプンを送り込むのです。それが旨い米の出来るヒミツです。
福田農園が作るお米は、主にヒノヒカリと言う品種のお米です。奈良県の主力品種でもあります。東の横綱が、コシヒカリならば、西の横綱が、このヒノヒカリです。
ヒノヒカリは、宮崎県の農業試験場で育成されたもので、良食味で知られるコシヒカリを父として黄金晴を母に誕生しました。おいしい品種を目指し、炊いたその光沢を比べコシヒカリと同じような優れた系統を選別し、更に世代を経た選抜を加え、良食味品種として誕生しました。九州~近畿地方まで広い地域で栽培されているお米です。近年は、温暖化の影響もあり高温に強いとされる、新しい品種も登場してきていますが、現在まで西の王者たる、その地位に揺らぎはありません。
大和豊年米食わず と言う諺があります。瀬戸内の気候の影響を受ける大和盆地は雨が少ないのです。大和で米が豊作の年=雨の良く降る年は、他の地域では水害が発生し救援米となり、大和の者は食べない。他が豊作の年は、大和は日照りで米が穫れない。古くから溜池が多く作られてきました。それでも、長らくすべての田んぼに稲を植えることは出来ず、綿や西瓜が作られました。が、大正年間より山間部に谷をせき止めた四大溜池と呼ばれる溜池が出来た事により、状況は大きく改善しました。それ以外の地域では、戦後に吉野川分水と言う吉野の山野ダムから水が引かれました。